江ノ本のつれづれblog

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【レビュー/40点】『FOREVER BLUE LUMINOUS』(Nintendo Switch)ゲームではなく泳げる魚図鑑

本記事はNintendo Switch専用ソフト『FOREVER BLUE LUMINOUS』 (フォーエバーブルー ルミナス)のレビューです。

本作は自由に海を泳ぎまわり、魚との出会いを楽しむ癒し系ゲームです。

ゲーム内には500種類以上の魚が収録されています。

自動生成される海は毎回新鮮な冒険を提供してくれます。

オンラインプレイで友人や知らない人と協力プレイも可能。

シリーズ作品未経験の私としては100点満点中40点です。

www.nintendo.com

基本情報

機種:Nintendo Switch

発売元:任天堂

開発元:ARIKA

発売日:2024年5月2日

Switchとしては上出来、携帯機モードでも綺麗

このソフトの特筆すべき点としてはそのグラフィックです。

PS5、XBOX series X|Sと肩を並べた時にどうしても見劣りするSwitchソフトのグラフィックですが、本作はSwitchソフトとして十分満足のいくグラフィックだと思います。

美しくモデリングされた魚達は目を見張るものがありました。魚のモデリングに全振りしていると言っていいでしょう。

海の表現は非常にシンプルです。水の揺らぎやきらびやかに差し込む太陽の光、舞い上がる海底の砂、サンゴの卵、プランクトンなど、繊細な表現や細かなオブジェクトが搭載されていない点は寂しく感じます。よく言えば魚を認識しやすい海になっています。

浅瀬だけで見ると上記のように少し寂しい感じもしましたが、深海を目指して泳ぐと海は徐々に暗くなり、海底では真っ暗な空間でライトだけを頼りに泳ぐことになるという明暗の変化が素晴らしいので気分は盛り上がります。

私個人として嬉しかったのはこれらグラフィックの特徴をSwitchの携帯機モードでも十分に楽しめたことです。携帯機モードで遊ぶとグラフィックが細かすぎて見づらいソフトや、処理を軽減するために映像がガビガビのジャギジャギになってしまうソフトがSwitchにはたくさんありますが、本作ではそのようなことはありませんでした。ただ、その為に画面に映っている海の奥の奥のほうまで描写されることはありません。実際の海はそんな感じなのでしょうか。これを書いていて気が付きましたが、どの海もすべて水質が同じというのもちょっと物足りない感じがします。

ゲーム性は皆無

本作を遊び始めて10時間くらいは自由に泳ぎ回って魚図鑑を埋めるのが楽しかったのですが、そのあたりからゲームとして限界を感じ始めました。

本作にゲーム性は皆無です。

  • 競争要素無し
  • 駆け引き要素無し
  • 成長要素無し

競争要素とは、「誰かに勝った負けた」を楽しむ要素です。そういったものはこのソフトにはありません。これについては海をのんびり泳ぐ作品なので特に問題ありません。ただ、オンラインプレイのおまけモードで何かしら用意されていてもいいのではないでしょうか。

駆け引き要素とは、「リスクを冒して良い結果が得られるかどうか」を楽しむ要素です。本作は酸素ボンベの概念が無いのでなんの工夫をせずともどこまでも遠く、どこまでも深く泳ぐことができます。達成感無しです。また、サメなどの狂暴な魚も攻撃してこないのでなんのスリルも感じることなく魚図鑑に登録できます。

成長要素は、「プレイヤーの技量もしくはキャラクターのステータスの上昇」を楽しむ要素です。駆け引きでも書いた通り、このソフトには酸素ボンベの概念がありません。性能のいいボンベを手に入れる喜びはありません。フィン(足につけるヒレ)を改良して泳ぐスピードを上げるということもありません。泳ぎ方に上手い下手も無いので、何も考える必要がありません

自動生成マップがつまらない

本作では毎回新しいマップが自動生成されるので、何度も新鮮な気持ちで海を泳げるという触れ込みになっていますが、この自動生成マップがお世辞にもおもしろいとは言えません。マップはいくつかのパーツの組み合わせでしかありません

  • 浅瀬
  • 少し深いところ
  • 真っ暗な深海
  • サンゴ礁
  • やけに長い海藻
  • やや入り組んだ地形
  • 深海へと続く長い一本の洞窟(細い・太い)
  • 沈没船(中には特に何も無い)
  • 海底遺跡(中には特に何も無い)

これらの組み合わせなので、遊んでいるうちにすぐに新鮮さは感じられなくなります。どこかで見たような海ばかりになります。

魚図鑑ゲーなのに生態系はグチャグチャ

本作には海水魚や水生哺乳類(クジラ、イルカ、シャチ等)だけでなく淡水魚や古代魚、架空生物が登場し、図鑑で割と詳しい説明を読むことができます。図鑑の説明は音声で再生することもできます。

図鑑の内容はおもしろくて名前を聞いたことのある魚の豆知識を知るのは楽しめました。私がこのソフトで得たお気に入りの豆知識は「キングサーモンは通称マスノスケ」です

図鑑の解説は基本的に真面目な内容になっていますが、その割に淡水魚が海を泳いでいたり、さほど特殊なエリアでもないのに古代魚が泳いでいたりするので、魚に詳しくない人でも違和感を覚える作りになっています。こんなことをするよりも、海のマップ、川のマップ、古代のマップとマップを何種類か用意してそれぞれの雰囲気の違いを大きく出してくれたほうが長く楽しめたはずです。

簡単に到達できるエリアに架空生物が泳いでいるのも雰囲気を壊していますし特別感がありません。図鑑を見ても、完全な架空生物なのか、本当にそういう伝説があるのか、イマイチハッキリしない為、どう受け止めるのが正解なのかわかりづらくなっています。

海から顔を出すことすらできない

本作はゲーム開始時点で海の中から始まり、ゲーム中はずっと海の中に潜っています。酸素ボンベの概念すらないのでそういう作りになっているのでしょう。海面近くまで泳ぐと謎の壁に頭をぶつけます。非常に不自然です。海の外があるからこそ海に潜っているという実感が増すのではないでしょうか?海の中を泳ぐよりも速く移動できる船に乗ったり、陸に上がって海辺の鳥を見たりしたいというのが本音ですが、このソフトにそこまで期待しません。海面から顔ぐらいは出させてほしかったです。

まとめ

ほとんど不満しか書いていませんね。だってそうなんだもん(笑)

だいたい20時間弱遊んでブックオフに持っていきました。この時の買取価格は3300円でした。20時間弱は楽しませてくれたので40点とします。

アマゾンのレビューやX(旧Twitter)上の感想を見ると、前作を遊んだファンの人達がガッカリしているようですが、シリーズ初体験の自分としてもさほど期待はしていなかったにせよ早めに見切りをつける結果となりました。

販売元が任天堂だからといってあまり信用できませんね…。

ただ、グラフィックは綺麗ですし、のんびり遊んでるので、魚好きな小さなお子さんでも楽しく遊べると思います。

 

最後までお読みいただきいただきありがとうございました。